「霊感商法」問題に関する統一教会の見解

本年9月15日、改正宗教法人法が施行され、各宗教法人はこれまで以上に公共団体としての自覚を持って組織運営にあたることを求められています。 その中で、宗教法人世界基督教統一神霊協会(以下、当法人という)はこれまで法人規則にのっとり、組織改革を進めてきました。

また近世界日報社から『「霊感商法」の真相』(霊感商法問題取材班著)が発刊され、問題となった壺(つぼ)・多宝塔などの販売当事者の代表である古田元男氏が初めてインタビューに登場しています。そして、同氏は販売のための組織を作り、自ら指揮していたと認め、それらの販売行為に対する当法人の関与を一切否定しています。

当法人は今日まで、あたかも「商法」を行ってきたかのごとくけん伝されて、誤解を受けてきましたが、一貫してこれを否定してきました。それゆえに、このような機会に「霊感商法」問題に関する当法人の見解をここに重ねて明らかに致します。

 

 

一、いわゆる「霊感商法」とは

 

「人に死後あるいは将来のことについて、あることないことを申し向けてその人に不安をあおりたて、その不安につけ込み、普通の人だったら買わないようものを不当に高価な値段で売りつける商法…人の不安をかき立ててその弱みにつけ込むという意味で大変悪質なもの」 (1987年5月21日、衆議院物価問題等に関する特別委員会での警察庁刑事局保安部の上野治男生活経済課長発言)であるという。当法人を被告として訴訟を起こしている元信者らは、「霊感商法」は詐欺的、脅迫的であり、商品の価値も不当に高額であり、当法人が「霊感商法」を組織的、計画的に行っていると主張しています。

 

 

二、「霊感商法」の真相

一昨年から、当法人が被告とされている裁判において全国しあわせサークル連協議会(略称・連絡協議会)の幹部であった小柳定夫氏と堀井宏祐氏が証人として出廷し、「大理石の壺、多宝塔などの開運商品の販売を組織的に行ったのは、連絡協議会であり、統一教会ではない」と証言しています。

このような法廷における小柳、堀井両氏の証言や最近発刊された『「霊感商法」の真相』によって、次のような事実が明らかにされました。

連絡協議会は、壺、多宝塔、印鑑などの開運商品及び高麗人蔘茶の販売を全国的に指導するとともに、顧客(ゲスト)教育の場として、全国各地にビデオセンターを設置し、ゲストを対象にセミナーを開催していたといいます。

連絡協議会は、ビデオセンターの運営や教育のためのセミナーについても、連絡協議会に所属するお託売員たちが独自に行っていたもので、当法人の指導は一切ありませんでした。当然、関連商品等の販売についても、当法人からの指示、命令が全くなかったことは言うまでもありません。

しかし、販売活動が社会問題化されるに及んで、昭和62年3月、当法人は壺・多宝塔等の輸入元であった(株)ハッピーワールドに対し、大理石の壺、多宝塔などの販売について、社会問題となり、当法人が誤解を受けているので、行き過ぎた販売行為があったかどうか実態調査をするよう要請しました。

当法人の要請を受けハッピーワールドは実態調査をした結果、一部に行き過ぎと見なされることがあることを知り、かつ社会問題化している現状を考慮して昭和62年3月3日、大理石壺・多宝塔の輸入を中止することを決定しました。

また、高麗人蔘茶など取り扱い商品の販売にあたっては、誤解を招くような販売方法は一切禁止することとし、連絡協議会も平成4年、古田元男、小柳定夫両氏らがハッピーワールドを退任した後、中央本部・ブロックは、解散したということであります。但し、残務整理については小柳定夫氏が責任をもって継続するということであります。

 

 

三、統一教会の見解

これに対し当法人はこれまで「統一教会は宗教法人であり、いかなる収益事業も行っておらず、いわゆる『霊感商法』などとは関係ない」と再三見解を表明してきました。

 

①大理石の壺は・多宝塔などの販売行為はこれまで述べてきたように断じて当法人の行為ではないし、当法人の指揮によるものでもありません。法人は規則にのっとり運営されており、規則にない収益事業を行ったことはありません。また、当法人は信者の教化、育成を目的としており、信者の個人レベルの活動である販売等の経済活動に対して関与したり、指導監督するような立場にないことも言うまでもありません。

 

②大理石の壺・多宝塔などを販売したのはハッピーワールドとその傘下の各販社及び代理店各社であり、その委託販売員たちでした。古田、小柳両氏はこれら委託販売員を組織して連絡協議会をつくり、全国的かつ組織的に販売を指導してきたことを法廷において明確に証言しています。販売行為についてはその責任は本来、それら販売の主体に問われるべきものであり、当法人の一部信者が販売行為に関与していたからといって、その責任を当法人に問うのは筋違いも甚だしいと考えます。

 

③「霊感商法」を問題にし批判する人たちや一部のマスコミ等は、壺・多宝塔等が開運商品であるとして行った販売行為が違法であると主張しますが、大理石の壺や多宝塔などを購入し、霊的な恩恵を受けたとの体験談も多数あるとのことです。こうした霊的恩恵を頭からすべて否定することは、その恩恵を受け喜んでいる人たちを侮辱し、人格を否定することになるのではないかと考えるものです。

しかし販売の際に使用したセールストークは、当法人の教義とは似て非なるものであったといえます。他方、壺・多宝塔等の販売では家系図を分析したり、手相、姓名判断、四柱推命などの易学や因果応報などを説く仏教的な教えに近いものであったと思われます。それは決して聖書の教えを根本とする当法人の教義(統一原理)ではありません。

このようにさまざまなセールストークを用いて、顧客を説得したことについて行き過ぎがなかったかについては、個別の案件の事実関係を検討し、法廷の場においてその違法性の有無判断が下されるべきものです。すべての販売行為が詐欺と脅迫に基づいた違法行為であるとの主張は、事実を直視しない批判のための批判でしかありません。

 

④大理石の壺・多宝塔等については、製造元である株式会社一信石材(韓国)の初代社長であった黄忠雲氏の話によれば、同氏が韓国の有名な予言者から聞いた予言があったとのことです。その内容は、「a白雲山は霊山である。そこから大理石の壺や多宝塔などが宙を飛んで海を越えて日本列島の家々に入っていく b人々の顔は輝き、笑顔でそれらを拝んでいる。その数は40万個 c少しするとあたりが暗くなり、人々が迫害を受けるようになったが、再び光が輝き始め前にも増して明るい笑顔になった dこれらの壺や多宝塔などは芸術品として将来高く評価され、大きな価値を持つようになる」(「明らかになった霊石の奇跡と真実」霊石愛好会発行)というものであります。当法人としては、同氏の説明は尊重されるべきだと考えるし、芸術品としてだけでなく、このような霊的背景を有するという大理石の壺・多宝塔などを多くの人々が貴重に扱うのは理解できます。

 

⑤『「霊感商法」の真相』によれば、壺・多宝塔等は、世界的にも貴重な大理石でつくられ、民族文化の粋を集めた製品であり、匠(たくみ)の魂の結実した優れて高い芸術性を持つ美術工芸品であるとのことです。また高麗人参製品についても、韓国の大統領賞を授与され、日本においても財団法人日本健康栄養食品協会の認定を受けた優れた健康食品であり、その効能についても最近医学界でも注目されている製品であります。いずれも、商品の品質については、全く問題がないと思われます。

 

⑥連絡協議会などの一部信者らの活動が、当法人の行為のように誤解される原因の一つには、それらの組織が会員獲得及び会員の教育を独自に自主的に進めたことにあります。

当法人としては、統一原理うを広め信者を獲得する布教活動は、本来、法人で行うべきとの立場から、それらの組織において、このような信者の自主的活動として布教活動が行われることに対しては、その実態を詳細に調べ、はっきりと指導すべきであったと反省するものであります。

当法人として今後は、信者の職業選択の自由や宗教活動の自由という憲法上の人権問題にも配慮しつつ、その社会的活動が誤解や批判を招かないよう、また、信者らの自主的な宗教活動における布教と教育活動についても、それが正しく行われるよう宗教的立場から指導を行っていく方針であります。

 

 

四、最後に

当法人は以上のような基本的姿勢で問題に対処する方針ですが、このような「霊感商法」問題の背後で見過ごされている基本的人権に関わる重要な問題があります。それは、当法人信者に対する暴力的な強制改宗の事実であり、「霊感商法」裁判の原告となっている多くの元信者が、拉致(らち)・監禁の被害者であるという事実です。最近、光言社から発刊された『人さらいからの脱出』(小出浩久著)には、その著書に対して二年間にもわたり、不法な監禁による強制的な説得が行われ、当法人に対する裁判の当事者に仕立て上げられた経緯が詳細に書かれています。民主主義国家である日本において、このような犯罪的な事実が放任されていることに我々は大きな怒りと危惧を感じざるを得ません。

信仰を持った人間を改宗するため、拉致・監禁し、説得するという名の強制的な改宗を行い、統一教会からの脱会を表明し、統一教会を告発しない限り、監禁から解放しないというのであります。これは、刑法上の逮捕・監禁罪などに当たるばかりか、民主主義国家の根幹である思想・信条・信仰の自由を侵害する許されざる重大な違法犯罪行為であります。しかも、元信者らを原告として統一教会を被告とする裁判には、一部のマスコミ、弁護士及びキリスト教牧師が深く関わっています。

このような悪質な人権侵害問題にこそ今後、社会の公器たるマスコミや基本的人権の守護者たる弁護士が目を向け、すべての日本国民の人権が等しく守られる社会を築いていくよう努力すべきだと思います。

 

1996年12月15日

世界基督教統一神霊協会

会長 石井光治

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「霊感商法」見解(中和新聞)961215-2.pdf
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